乳糖不耐症

日本人の2000-3000万人が乳糖不耐症と言われています。この乳糖不耐症は牛乳や乳製品に含まれる乳糖を消化できなくて、腹痛や下痢などが発現する状態です。牛乳成分に対するアレルギー反応ではなく、ほとんどの場合が正常な反応によるものです。

乳糖は陸生哺乳類の母乳の糖質のほとんどを占めています。
授乳期の赤ちゃんは、乳糖を身体に取り込むために小腸のラクターゼ(酵素)が必要なので、生後一定期間のラクターゼ活性は非常に高いです。
しかし、授乳期を過ぎて固形物を食べることが出来るようになると、次第に母乳の出番は無くなっていきます。それに伴い、自然とラクターゼ活性も低下します。
結果として、身体は乳糖を取り入れることが困難となっていくのです。

乳糖不耐症には、腸の損傷や病気が原因で二次的に生じている場合や、非常にまれですが、生まれながらにラクターゼが生成されない先天性の酵素欠損があります。

離乳後のラクターゼの活性低下に個人差があります。幼児期に活性が消失する人もいれば、成人期後半に消失する人もいます。
また、人種間のばらつきがある事がわかっています。東洋人のほとんどは乳糖不耐症ですが、ヨーロッパ人は5割ぐらいです。(表)

  人種ラクターゼ欠乏率(%)
アメリカインディアン95-100
地球海沿岸住人80-85
アフリカ系アメリカ人85-90
東洋人90-100
ユダヤ人80-95
北ヨーロッパ人40-55
メキシコアメリカ人50-75
人種別のラクターゼ欠乏率(引用:Rusynyk and Still. Lactose intolerance.)

(症状)腹部に集中しています。
腹痛、下痢、痙攣、膨満感、鼓腸(異常にガスが溜まる)
原因は、乳糖が十二指腸で消化吸収されないため、未消化の乳糖の濃度が腸内で増えて、大腸菌と結合して過剰な水素ガスを発生させたり、腸内の浸透圧が変化するためと考えられています。

症状の発現
乳糖を含む食品を摂取した後、約30分から2時間後に発生する傾向があります。このような経験があれば、乳糖不耐症の可能性があります。
症状の程度
ラクターゼ活性低下の程度や乳糖の摂取量によって現れる症状の程度は、ヒトにより異なります。牛乳90-240ml(乳糖5-12g)の摂取でも症状が生じる可能性もあります。

対処
多くの人は乳糖の摂取を制限することで対応可能です。
どの程度制限するかはラクターゼ活性低下の程度により異なります。
乳糖を含む製品の1日の摂取量を少量に制限するか、豆乳などの植物性の非乳製品飲料やラクターゼ処理を施した代用品(調整乳)を使用することも可能です。

重度の乳糖不耐症の人は、調理済み食品に添加される事が多い隠れた乳糖にも注意が必要です。さらに、乳糖はサプリメントや医薬品の添加物として使用されています(処方薬の20%以上、市販薬の6%以上)。

ツボ

乳糖の摂取管理に加えて、症状が出ているときの対処法として使えるツボを紹介します。
◆ヘソを中心に上下左右にツボを取ります。
具体的には、中脘、関元、天枢(左右)
お腹が冷えてるときは、灸やカイロ等で暖めます。
◆足三里
胃腸症状の万能ツボです。
普段から、予防として刺激するのも良いでしょう。