
前回の「こぼれ話」でご紹介した、患者さんからの「帰り道にお通じが来ないようにしてほしい!」という切実な(?)ご相談。
笑い話のようですが、実は施術後にお腹が動き出すのは、単なる偶然ではありません。 そこには理にかなったメカニズムが隠れています。なぜ排便を我慢すべきではないのか、東洋医学的な3つの視点から紐解いていきましょう。
1. 生命力が高まると、身体は「排泄モード」に入る
施術を受けると、滞っていた「気(エネルギー)」が巡りだし、あなたの生命力がぐっと引き上げられます。 すると身体は、今まで溜め込んでいた不要なものや毒素(邪気)を外へ追い出そうとし始めます。
- デトックス反応: 生命力が充実してくると、身体は自らを守るための「自浄作用」を活発に働かせます。
- 良い循環への入り口: お腹が急に動くのは、身体が正常な新陳代謝を取り戻し、「良い循環」に入った証拠です。これを止めることは、せっかく始まった身体の大掃除を途中で中断させるのと同じことなのです。
2. 「出す」ことは、生きるための基本
東洋医学には、足りないものを補う「補(ほ)」と、余分なものを出す「瀉(しゃ)」という考え方があります。
生命活動は、必要なものを取り入れ、不要なものを出すという絶妙なバランス(補瀉のバランス)で成り立っています。健康な身体とは、この「出し入れ」が滞りなくスムーズな状態を指します。
施術によって滞りが消え、身体が「出すぞ!」と動いている時に、あえてそれを止めることは、治療の目的に逆行します。無理に止めれば、再び体内に「滞り(気滞)」を生んでしまうことになりかねません。
3. 「我慢」は「肝(かん)」に余計な緊張を強いる
東洋医学において、意志の力や筋肉のコントロールを司るのは「肝(かん)の臓」です。
- リラックスの代償: お腹の施術でリラックスすると、これまで無意識に張っていた「肝」の緊張がふっと緩みます。
- 矛盾した要求: 緩んだ結果としてお通じが来ようとしているのに、そこで「我慢する」という意志の力(肝の力)を使おうとすると、身体は再び強い緊張を強いられることになります。
「自然な力を引き出したい」と願いつつ、「生理現象は自分都合で我慢したい」というのは、身体にとっては非常に矛盾した、負担のかかる要求なのです。
結論:お通じは「最高の養生」です
施術後に急な便意を催すのは、あなたの自然治癒力がしっかりと動き出したという素晴らしいサインです。
これを無理に抑え込むことは、せっかくかかった回復へのエンジンを止めてしまうようなもの。身体が「今だ!」と言っている時は、その声に従ってあげるのが一番の健康法です。
もし、施術後の帰り道が心配な方は、あらかじめ「利用可能なトイレ(公園、公共施設、商業施設など)」をチェックしておくことをおすすめします。ご自身の生命力が元気に活動を始めた証拠として、その反応をぜひ喜んで受け入れてあげてくださいね。