涙管の閉塞

涙が出ると同時に鼻水も出てくるのは なぜでしょうか?

涙が涙管を通って、鼻へと流れるからなのですよ。

この涙管が塞がると、涙の行き場が無くなって目から涙が溢れてしまうんですね。

眼科では、シリコンチューブを涙管に挿入して涙の流れを確保することもするようです。

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涙管の閉塞 違和感の図

ある冬の寒い日、50代の女性が来院した。

30年前に

右涙嚢が腫れて涙管が詰まり易くなり

3年前から

シリコンチューブを挿入し留置している。

現在は、

月2回の眼科通院で涙管の通り具合を診てもらっている。

使用目薬:サンコバ、タリビッドを点眼している。

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  • 疲労時、右目から頬にかけて重たい感じが出現
  • 舌の奥の違和感
  • 右頸から肩にかけてのコリ 涙が溢れる。
  • 特に冷たい風に当たると悪化する。

等の自覚症状がある。

チューブ留置にもかかわらず 涙が良く溢れ出るので、

いつでも涙を拭えるように 就寝時でもハンカチを手放せない。

早期にチューブを取り除きたいが

未だに涙の通りが良好といえず 、予後に不安を感じている。

当院へは、

チューブが取り除ける状態に少しでも近づけたいとの希望で来院。

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○鍼灸施術

全体の氣の流れを整えたうえで

留置チューブ周辺の血流改善を目的に

週に2および3回の頻度で施術を行った。

2週間後

  • 涙の量が減少し溢れにくくなっている。
  • 涙の質がサラッとした感じに変化する。
  • 舌の奥の違和感が減少
  • 頸肩のコリが軽快

半年後

  • 涙の流れが良好となり眼科にてチューブを抜去。

抜去後

  • 再び閉塞すること無く、経過は良好であった。

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施術開始からしばらくは、鍼灸の効果に不安を感じておられましたが、

二週間ほど経過して涙の量や質がはっきりと変化してからは、不安感は次第に解消されていった様子でした。

固定した症状の治療には、中長期の視点で臨むほうが焦りも出ずに精神的に余裕が生まれます。

結果として、かえって早く効果が出ることになるでしょう。

東洋医学では「涙は肝の液」とあるように、肝の蔵と深い関係がありますので、これを意識しながら全体を診ていきました。

鍼灸治療で治癒力が高まり、今まで受けていた治療がさらに有効となったことで良い結果に結びついたと思われます。

 

◎参考