便秘解消には、食事などの生活改善が基本です。
真摯に向き合えば、身体は必ず応えてくれます。
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便を押し出す力が十分で腸壁の潤滑が良好であれば快便となるが、
何らかの原因で大便が滞ることがある。これを便秘あるいは秘結(ひけつ)と称す。
通常、排便が2日から3日以上ないものを言う。
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便秘の種類
・力不足(気秘)
便を押し出す力が弱いと、便意はあるが排便困難となる。
便塊に必要十分な力が届かない。これは、虚弱、疲労、老化、腹部の手術後の
癒着などが考えられる。(気虚・気滞)
・乾燥(虚秘)
便を押し出す力があったとしても、腸壁の潤いが十分でないと、排便への抵抗
として作用する。この場合の便は、乾燥して硬く、兎糞状である。
体に必要な水分(津液)が減ったために、潤いが保てず乾燥している状態だ。
食品での対応
便秘には、唾液が出て体を潤し胃腸の働きを整えるものを取ると良い。
桃や杏は潤いを増し、便秘に良いとされる。また、腸内細菌叢を良い状態にす
るために、発酵食品を積極的に取り入れる。
一方、柿は良くない。寒で凝る性質がある。冷え性の人は特に好ましくない。
●力不足の便秘には、補気の作用のある食品を加えると良い。
米、かぼちゃ、さつまいも、大豆などの豆類、とうもろこし、など。
特に、納豆、きな粉は手軽な大豆製品である。
注)納豆はビタミンK を多く含むので、血栓・塞栓症の治療や予防に用いられる抗凝血薬ワーファリンを服用中の人は、薬の作用を減弱させる可能性がある。ワーファリンは肝においてプロトロンビン(凝固因子)の生成に必要なビタミンKの働きを阻害する。
●乾燥の便秘には、滋陰の働きのある食品を加えると良い。
梨、チーズ、ヨーグルトなど。
ただし、冷え性には、冷たいヨーグルトは控えて、固形乳酸菌が良い。
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(参考)
便秘の多くは、腸の働きが悪い機能性のものだが、
全身に影響を及ぼすパーキンソン病や甲状腺疾患、
大腸やその周辺の臓器の問題によって、腸が狭くなったり圧迫されて便秘となる場合もある。
また、服薬の影響で慢性便秘となっていることもある。
薬の種類と作用(参考)
薬には、主に緩下剤と刺激性下剤の2種類がある。
●緩下剤
緩下剤は、便塊に多くの水分を含ませて柔らかくすると同時に便の容積を増や
して、腸壁を機械的に刺激することで、排便を促す。穏やかな効果で比較的安
全性が高いので長期の服用に向いている。
酸化マグネシウム:マグラックス
ラクツロース:モニラック
カルボキシメチルセルロース:バルコーゼ、カンテン
ジオクチルソジウムスルホサクシネート:ビーマス
●刺激性下剤
刺激性下剤は、腸の蠕動運動を強力に亢進させることで、排便に至る。作用が
猛烈で、長期間の連続服用で習慣性や腸管の変化を来たす。
虚弱者、高齢者、妊婦などには慎重を要する。
腹痛や腹部不快感、電解質異常、大腸黒皮症などの副作用も多く、一時的な使
用法が望まれる。
センナ:プルゼニド、アローゼン、ヨーデルS、
ダイオウ:セチロ
アロエ
ピコスルファートナトリウム水和物:ラキソベロン
浣腸液:
グリセリン
炭酸水素ナトリウム配合座薬:新レシカルボン
座薬
ビサコジル坐剤:テレミンソフト
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気になる徴候(参考)
50歳以上で大腸がん検診をしていない場合、以下の徴候には注意を要す。
●便径の変化(便が細くなっている)
●便潜血陽性
●鉄欠乏性貧血
●閉塞症状
●最近、便秘になった。
●肛門出血(おしりから血が出る。)
●直腸脱
●体重減少