人の身は労働すべし

中国後漢期の名医、華佗(かだ)の御言葉には、…

人の身は労働すべし。労働すれば穀気きえて、血脈流通す。

とある。この意味は、
ヒトの身体は、動かすことを惜しむべきではない。
身体を動かすことで胃腸の働きは活性化され
よって、飲食物は余すところなく消化吸収されて
身体の血となり肉となる。

だから、未消化のものが滞り、
それが原因で邪気を発することがない。

また、身体を動かすことによって
体中の血液は滞りなく循環するのだ。

呂氏春秋には、

流水不腐、戸枢不蝕、動也。形気亦然。

この意味は、流水は腐らない。溜まり水は腐る。
扉の軸の蝶番は虫が食わずに腐らないのは、常に動いているからである。
ヒトの身体もこれと同じである。

あらゆる欲望には振り回されるのはよくない。ほどほどにすることだ。
そして、時々身体を動かし、手足を使って、歩くべきである。

同じところに長く安座して動かなければ
飲食の気は滞り
気血は巡らず病を生じる。

長時間同じ姿勢でじーっとしていなければ
気血は体中を巡って、滞ることはない。
これは、日常心に留めて置くべき養生の要である。

食後や日中に横になるなどは最も滞りを生じさせる。
夜も、飲食が消化しない内に早く寝ると気が滞り病となる。
是 養生の道において最も忌むべきことである。

養生訓 貝原益軒 巻第2より意訳

平成己丑年戊辰月庚辰日 清明