ある年の春、30代の女性が唇の違和感を訴えて来院した。
2-3日前より、急に上唇の右側がピクピクと痙攣するようになった。
同時に、上唇全体がヒリヒリと痛み、これらの症状が終日持続している。
唇に熱を感じるので、自宅にあった保冷剤で冷やしてみたが
症状は改善しなかった。
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診てみると,確かに唇に熱がある。全体に腫れた感じ。
先ず、全体の気の流れを調えてから
唇の熱を散らし、腫れが引くように施術して治療終了。
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2日後来院
治療後から、上唇の皮膚が乾燥してきた。
ヒリヒリは無くなり、痒みが出てきた。
ピクピクは消失している。
アクビをした時に唇が切れたので、ワセリンを塗っている。
診てみると、熱は引いており腫れもなくなっている。
良い兆候だ。
ヒリヒリ感の痒みへの変化や皮膚の乾燥は、
治癒過程で一時的に生じているもので
良い兆候である。
前回と同様の施術をして治療終了。
後日、電話にて痒みも無くなったとの報告を受けた。
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この症例では、五臓の肝の働きを回復させ、
痙攣している部位周辺の気血の流れを改善することに意を注いだ。
唇の痙攣に限らず眼の周辺がピクピクしたり、筋肉がヒキツル様な
筋の問題は、肝を調整することが多い。
平成庚寅年 清明