元気の流れは健康の要。
停滞があれば病の元となる。
流れを復旧し自力で健康に向うよう導くのが、鍼灸の目的だ。
主な元気の流れは、縦方向に3つ。
正中線上の循環が一つ。左右の半身にそれぞれ一つ。
古典ではこのルートを便宜上いくつかの区間に分けており、経あるいは脈と呼んでいる。
例えば正中線のルートは前面を任脈、後面を督脈という。
また、右半身に12の脈、左半身に12脈、計24脈はそれぞれに臓腑の名前が付いている。
この元気の循環は、途切れること無く身体を環状に流れているので、始めも終わりも無い。
さて、この流れている元気そのものはどこから生じてているのだろうか。
生命誕生の時に、それは両親から頂くことになる。
その後、生命維持のために外部から補充されることになるが、それは主に食事から得られるものである。
お腹の中に入った飲食物は、身体に活用できるような形に加工されて、元気の循環に取り入れられていく。
だから、元気の循環は腹の中から始まると言える。
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『類経図翼・経絡周流解』には、十二経の元気の流れについて簡潔に記してある。
此処に意訳して紹介する。
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人身の元気の流れには、十二の経がある。
元気は毎朝3時から5時ごろに腹から上昇して、先ず手の太陰肺経に注ぐ。
肺経は胸の内側より中府のツボに出て少商のツボに至る。
次に手の陽明大腸経へと続き、全部で十二経を行く。
最後は足の肝経である。そして、再び肺経に行き元気は循環する。
手の三つの陰脈は臓より手に走る。
手の三つの陽脈は手より頭に走る。
足の三つの陽脈は頭より足に走る。
足の三つの陰脈は足より腹に走る。
元気は周(あまね)く流れて止むことがない。
環の端無きが如し。