耳鳴・耳閉感など耳の症状を持つ人は割と多い。高齢になると「音は聞こえるが声が聞き取りにくい」と訴える人もいる。

一過性のものは概して治り易いが、長期にわたる慢性化では治りにくいのは他の病と同じである。

耳は腎臓の出先機関なので、耳の不調は腎の不具合と捉えるのが基本である。(耳は腎の官なり)

身体を診るに当り、耳とその周辺部、腎臓本体、そして腎臓と耳の連絡網(經脉・ツボなど)、を考慮し体表を観察する。悪い箇所を丁寧に探し出して、元に回復させるのが、治療家としての小生の役割だ。

耳は腎臓と関係が深いだけでなく多くの経脉が通じているので、それらの観察も欠かせない。(耳は宗脉の集まる処)

耳の症状は、老化と関係が深い。老化はその人が保持している元気の量の減少によって生じるものだが、それは腎の衰えを意味する。老化によって元気が減る。そこで腎の働きが衰えて耳の症状が出るというのは、自然なことではある。

古の養生法には「腎の働きを維持すること」の大切さを説いているものが多い。貝原益軒の『養生訓』もその一つである。

軽度のものであれば、耳周辺の刺激のみで回復する場合もある。体表の凸凹は気血の滞り易い所なので、圧痛(圧して痛む)、浮腫(むくみ)が生じやすい。それらをうまく取り除くことができれば、症状の軽減につながるし予防にもつながる。

耳者腎之官也。

南方赤色、入通於心,開竅於耳。

腎主耳。…..在竅爲耳。

◆足太陽支者..…至耳上角。

足の太陽の支脈は百会穴より耳の上角に至る。この時に足少陽之脈と交叉する。

足陽明..…循頰車、上耳前(下關穴)。

足少陽.…下耳後…支耳中出耳前。

手太陽之脉,..…入耳中(顴髎穴より聴宮穴へ)。

手少陽..…繋耳後…出耳上角(角孫穴)..…支入耳中、出耳前。

手陽明之別(遍歴)者……入耳,合於宗脈。

足少陽之筋..…出太陽之前,循耳後

足陽明之筋..…其支者..…結於耳前。

手太陽之筋,結於耳後完骨;其支者,入耳中;直者,出耳上..…

手厥陰(心主之正)..…出耳後,合少陽完骨之下..…

十二經脉、三百六十五絡..…其別氣走於耳而爲聽。..…

手足少陰太陰足陽明之絡,此五絡,皆會於耳中,上絡左角..…

足少陽之..…標在..…窗籠(聴宮穴)者、耳也。

◆耳者宗脉之所聚也。

客主人穴_三焦経、胆経、胃経が交わる処。耳前。耳病には常に之を取る。

◆腎氣通於耳、腎和則耳能聞五音矣。