古典には現代では伝承が途絶えてしまった技法も多く記載されている。
その中で私は打鍼術を試みている。
コンコンと心地良い音をたてながら、振動が身体へと伝わっていく。
江戸時代の鍼灸術指南書『鍼灸重宝記』によると
打鍼は木槌を使って針を打ち込むことで、より深い気の流れに作用させる方法のようだ。
主に腹部に使用していたと思われるが、私はその他の部位にも積極的に用いている。
ツボに針を施す場合、
針先の方向や深さに注意を要するが、
打鍼術の場合はこれに加えて、
- 打ち込みの強さ
- 打ち込みの角度
- 打ち込みのリズム
が、大切になってくる。針の世界は、術者の技量に応じてその一端を披露してくれるものだ。
工夫し熟練することで、自分なりの打鍼術が確立できたらと思っている。
平成戊子年甲子月辛巳日 大雪