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火は、化なり。燬なり。
化とは、変化。
燬とは、火の盛んなるサマ。
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火熱のつかさどる処は南方。
季節では、夏氣に応じる。
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火氣は、ひとたび燬然と盛んになれば、
萬物をあらゆる物へと変化させうる。
火氣盛んにして、物を煮熟す。
火氣盛んに過ぎれば、物は枯れる。
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炎の上は、陽氣が昇りて輝き、
炎の下は、陰氣が降りて暗し。
易経の離火の卦は、陽爻が陰爻を挟む。
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火は、手に取り出すことできず。
器に納めることもできない。
萬物を変化せしむる作用あるも、火には実体これ無し。
火は木より生ずるゆえに、木をもって火の体とす。
無形の火は、有形の木を得てその体とするのだ。
木が尽きれば、火の体は消え
無形の火も消えてしまう。
体用これ相い離れざればなり。