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私は小学生の時から先代より鍼灸の手ほどきを受けていたが、
現代医学や鍼灸に関する一般的な教養はこの学校での4年間で学んだ。
今では、看護学科、柔道整復学科が増設され
名称も明治国際医療大学と改めている。
「たには会」と称する同窓会がある。
「たには」とは、おそらく所在地の丹波地方の「たんば」の意味ではないかと思う。
この同窓会の九州沖縄支部の総務を今年から2年間は担当することになった。
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この学校の特徴として3年生終了時に免許を取得し、
4年生からは臨床主体の授業であったと記憶する。
参考までに鍼灸師の国家試験科目を列挙すると
医療概論(医学史を除く) 衛生学・公衆衛生学 関係法規 解剖学 生理学
病理学概論 臨床医学総論 臨床医学各論 リハビリテーション医学
東洋医学概論 経絡経穴概論 はり・きゅう理論及び東洋医学臨床論
12科目の内、わずかに3科目が東洋医学系である。
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これが為か知らないが、当時の授業は、
とにかく西洋医学的な知識を詰め込むことに重点が置かれていた様に思う。
1・2年生では、基礎的なことを学んだ。
経穴学・解剖学等の暗記で詰め込むような授業がほとんどだったが、
組織学や病理学の授業では、顕微鏡を覗きながら色鉛筆でスケッチすることもあった。
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経穴学は、身体のツボの名前と場所を正確に学ぶ学問だ。
一年の日数ほどのツボを念仏を唱えるように口ずさんで覚えていた。
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解剖学の授業では、ヒトの身体の形や構造について学ぶ。
一つの学問のようだが
これが、骨学・筋学・組織学・内臓学・神経学等に分類されており、
それぞれに膨大な量の単語を覚えていかなくてはならない。
試験は筆記試験に加えて、先生と対峙しての口頭試問があった。
例えば、こんな風に行なわれる。
一人分の骨が箱に入っている。
その骨をテーブルに並べて、骨格を完成させる。
骨の名称はもちろん、夫々の特徴のある部位の名称も述べなくてはならない。
骨の隆起(でっぱり)、陥凹(へこみ)、穴などである。
穴には、何が通っているのか。○○神経、とか○○動脈とか
先生からの質問攻めにされて、正確に答えなくてはならない。
冷や汗ものだった。
今となっては、良き思い出である。
平成己丑年乙亥月丙辰日 立冬