逆子

鍼灸重宝記 妊婦

鍼灸重宝記 妊娠

29歳 妊娠7ヶ月

産婦人科で逆子体操を指導され、自宅にて行っているとの事。

来院時、カゼ気味であり、鼻水・セキの症状有り。
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脈は、沈んでいる。
本来妊婦の脈はもっと大きいはずである。
本人曰く、冷え性である。

お腹を診ると、下腹部がかなり冷えている。
また、この部位にはクスミが強く現れており
邪気の停滞が考えられる。

飲食について伺うと、
コッテリしたアイスクリームや甘いものをよく摂取するらしく
湿邪を念頭において観察する。
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生命力を高めるために、肺の臓の働きを強めることにした。
施鍼後、脈が浮いてくる。

逆子の治療のために、三陰交(さんいんこう)のツボに鍼を施す。
施鍼後、下腹部が温まる。

横臥の状態で、仙骨周辺にも鍼を施す。
施術開始後すぐに、お腹がポコポコと動き始める。

右至陰(しいん)のツボに灸を多数施す。
施術中にコロッと胎児の頭の位置が移動し、お腹の形が変わる。

胎児が、骨盤にしっかり下がって安定した印象を受ける。

これで、この日の施術は終了。

後日、検診にて逆子が直っている事が確認できた。

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胎児の頭は邪気の部位を避ける傾向がある。
鍼灸によって下腹部の邪気(寒邪・湿邪)がうまく取り除かれたことにより
胎児の頭は正しい位置に復する事ができた。

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この例に限らず、施術中に胎児が活発に動き出すことは多い。

逆子の鍼灸治療については、既に多くの報告がされており

鍼灸院に限らず産婦人科においても試みているところもあるようだ。

かなりの確率で、効果が期待できるので

逆子で悩んでいる方は、ぜひとも試みて頂きたいものだ。

平成己丑年辛未月己巳日 大暑