施術によって得られるものは一回では些細なものかもしれない。
しかし、繰り返し継続することで、大いなる収穫を手にすることは多い。
此処に最近の例を紹介する。
当院での施術を毎週受けている67歳の女性が、CT検査の報告書を持参された。
以前に肺非結核性抗酸菌症と診断されていて、それから半年後の検査であった。
病院での治療は無かったので、鍼灸施術のみを行っている。
検査結果は以下のとおり
左肺の結節性の陰影が軽度の縮小、周囲の小結節も軽度の縮小とある。
今後も特に医学的介入の必要は無いとのことで、とても喜ばしい結果であった。
(参考)
肺非結核性抗酸菌症とは、NTM(Non-Tuberculous Mycobacteria:非結核性抗酸菌)による肺への感染症である。NTMは、抗酸菌の中でも結核菌以外の菌の総称だ。主な菌種は、Mycobacterium avium, M. intracellulareで、この2つの菌による肺への感染症をを肺MAC症(M. avium complex)といいNTMの80%以上を占めている。
60歳代で診断されることが多く、高齢者に多く見られる疾患である。
高齢化により患者数は増加している。また、死亡者数は、年間1000人を超えている。
NTMは、土、動物、浴室、水道水など自然環境や居住環境のどこにでも存在している。
人へは鼻や喉を通して感染して発病すると考えられている。
NTMは人から人への感染はしないので結核のように感染者の隔離の必要はない。
関節リウマチで免疫抑制療法を受けていたり、高用量の吸入ステロイド治療、誤嚥なども危険因子とみなされており、肺非結核性抗酸菌症になる可能性が高まる。
診断は、菌の検出と画像診断による。