明徳

1_明徳は、生まれながらに皆が授かっているものです。虚ろではありますが神聖にして神々しさがあります。その本体を見ることはできませんが、その働きからその存在を察することはできます。人は明徳あるがゆえに多くの可能性を持ち、あらゆる事柄に対応する力を持っています。
2_ただし、明徳を発揮している人は稀です。それは、身体の質の偏りと人欲の過多が原因で、明徳が汚れている人が多いからです。不徳の状態が続くと塵や埃が明徳に積もるような状態となり、徳の光が遮られてしまいます。
3_しかし、このように不徳の致すところとなっても明徳本体の光が消えているわけではないので、復活の可能性はまだ残されています。
4_ですから、偏りを調整し、欲に振り回されないようにして、明徳をくらましている積もった塵や埃を取り除き、さらに徳を磨くことが求められます。美しい鏡も磨き続けなければその輝きは失われてしまいます。

小生の日々の務めは「身体の不調和を解消して本来の治癒力を回復に向かわせること」ですが、これは明徳を遮っている塵や埃を取り除くことに通じます。
明徳が明らかになってる姿は、とても美しいものです。

明德者、人之所得乎天、而虛靈不昧,以具衆理而應萬事者也。
但、為氣稟所拘、人欲所蔽、則有時而昏。
然、其本體之明、則有未嘗息者。
故、學者當因其所發而遂明之以復其初也。

大学章句

1_明德とは、人の天より得る所にして、虛靈(きょれい)不昧(ふまい)、以て衆理を具(そな)えて、萬事に應(おう)ずる者なり。
2_但(ただ)し、氣稟(きひん)の拘(とらわれ)る所、人欲の蔽(おお)う所と爲(な)れば、則ち時に昏(くら)きこと有り。
3_然れども其の本體(ほんたい)の明は、則ち未(いま)だ嘗(かつ)て息(止)まざる有り。
4_故に學者(がくしゃ)當(まさ)に其の發する所に因りて、遂に之を明かにし、以て其の初に復(かえ)るべし。